■はじめに
3C分析というフレームワークをご存じの方は多いだろうと思います。
リスティング広告の現場では3C分析をどう活用しているのか、具体的な参考事例を知りたい。
というお声を頂いたので、この記事ではストーリー仕立ての構成で
【SimilarWeb】×【リスティング広告】×【GoogleAnalytics】を活用した広告運用における3C分析をご紹介します。
※広告運用者視点に立った狭義の3C分析の例になります。SimilarWeb PRO(有料版)の記事になります。
■化粧品会社A社の場合
女性向け化粧品の通販サイトA社がリスティング広告を始めて3年半が経過、
幸いなことに最近まで競合が少ないお陰で、検索広告を中心に満足な成果を上げていた。
しかし、3ヶ月前に突如現れた競合B社がリスティング広告に本格参入した影響で、
コンバージョン数が顕著に減少してしまった。
A社のリスティング広告担当者は打開策を打ち出せずにいた。
とりあえず非常によく知られたマーケティングの3C分析を用いて現状を分析することにした。
■3C分析編
ステップ1.競合/自社分析 サイトの滞在時間を比較してみた
リスティング広告の競合広告文やキーワードをチェックしても、数値で比較することは困難だ。
そこでSimilarWebで、自社と競合サイトの滞在時間の比較データを見てみることにした。
※SimilarWebでは有料広告に絞り込んだ滞在時間の比較も可能です。
SimilarWebの平均滞在時間比較は、
競合と比べてユーザーがより興味を持ってくれているのはどちらか
参考になる非常に分かりやすい指標だ。
何故ここまで乖離が大きいのか(競合より30秒以上も滞在時間が短い)
サイト側の要因を掘り下げるべきだと考えた。
ステップ2.競合/自社分析 サイトを見比べてみた
競合サイトのほうが滞在時間が長いのはなぜか?
何かしら要因がある前提でサイト比較してみることにした。
自社サイトと競合サイトを見比べて違いを細かく検証してみることにした。
その結果、競合は20~34歳女性(F1層)をメインターゲットと意識したサイト設計となっていることが分かった。
そこで「20~34歳女性(F1層)が競合に流れているのではないか?」という仮説を立てた。
この説が正しいとすれば、Google Analytics、Google Adwordsの管理画面上にも数字の変化として現れているはずだ。
ステップ3.顧客分析 競合の流入キーワード、広告クリエイティブを確認した
仮説「20~34歳女性(F1層)が競合に流れているのではないか?」を裏付けるために
SimilarWebで競合の流入キーワード・広告クリエイティブを確認してみた。
結果、競合は格安系のキーワードの比率が高く、インプレッション数の多いクリエイティブはF1層を意識した若い女性モデルのバナーデザインを使用していた。
サイト・キーワード・広告クリエイティブから「競合B社のメインターゲットがF1層である」
という仮説がより深まる検証結果となった。
※SimilarWebPROのアップデートにより最近ディスプレイ広告でインプレッション数順に並び替えが可能になりました。
ステップ4.顧客分析 年齢別データの変化を確認した
仮説「20~34歳女性(F1層)が競合に流れているのではないか?」を裏付けるために
Google AdWordsで可視化されるユーザー属性のデータを確認してみることにした。
ユーザーリストタブから、年齢別/性別でクリック数、コンバージョン数を確認することが可能だ。
3ヶ月前のレポートと比べてF1層(赤線)のコンバージョン数が低下(45件→19件)していることがわかった。
顧客分析を行う際には、Google Analytics、Google AdWords両方確認することが有効だ。
※Google Analyticsの管理画面上でも「ユーザー属性」→「年齢」「性別」にて確認できます。
■改善施策編
ステップ5.実施施策の洗い出し
これまでの分析から、競合が戦略的にF1層を取り込んでいるであろうことが推測できた。
そこで化粧品会社A社の担当者様にこれまでの情報を共有して会議を行った結果
現状最も獲得が多いF2層のコンバージョン数を最大化させることを目標として、
広告側とサイト側両方からアプローチする4本の施策を実施することにした。
※F2層の顧客を抱えている大手競合サイトの流入キーワードをSimilarWebで確認、
「しわ」などのF2層の代表的な悩みキーワードが見られたため、参考にキーワードの追加も実施してみた。
・【入札の最適化】 年齢別入札調整を導入。35~44歳に対する入札単価の強化
・【広告文の最適化】広告文にて「35歳からのスキンケア対策」と年齢を明確に記述
・【サイトの最適化】F2層のユーザー心理を掴むためのデザイン改修
・【キーワード最適化】F2層の悩みキーワードを追加&強化「しみ、くすみ、しわ」etc
ステップ6.結果確認
F2層のコンバージョン数最大化を狙った3つの施策を実施後、1ヶ月が経過した。
施策前後の結果を比較したところ、リスティング広告とGoogle Analyticsの管理画面上で下記のような改善が確認できた。
・【入札の最適化】 →F2層からのクリック数が約2倍、コンバージョン数も1.5倍まで増加した。
・【広告文の最適化】→クリック率が0.2%上昇した。
・【サイトの最適化】→滞在時間、コンバージョン率が僅かに改善した。
・【キーワード最適化】→表示回数、クリック数は着実に増加した。
■まとめ 各ツールと見るべき指標
広告運用で成果を上げるために便利な指標をピックアップしました。
必要に応じてさまざまな指標を活用する必要があります。
まずは基本的な指標をインプットしておきましょう。
1.競合分析(Competitor)
■目的
競合の数、戦略、パフォーマンスを把握する。
■ツール
SimilarWeb (競合サイトの流入キーワード、滞在時間、直帰率etc)
2.顧客分析(Customer)
■目的
市場や顧客のニーズの変化を把握する。
■ツール
Google AdWords (広告流入の年齢、性別、流入キーワード、プレースメント etc)
Google Analytics (自社サイト流入の年齢、性別、滞在時間、直帰率 etc)
3.自社分析(Company)
■目的
自社の売上高、市場シェアの変化を把握する。
■ツール
Google AdWords (表示回数、クリック数、コンバージョン数 etc)
Google Analytics (集客チャネル分析、行動フロー分析 etc)
■終わりに
運用担当者はどうしてもリスティング広告管理画面の情報に囚われがちです。
しかしそこから一歩外に出てみると、より本質的なアプローチが見えることもあります。
今回の事例のように競合の登場によって
「誰が」「何が」「どのように」変化したのか?
実際の改善に繋げたストーリーをいくつ持っているかがマーケターとしての価値だと考えています。
様々なツールの強みを理解して活かすことで、日々の運用の価値を高めていきましょう。
ギャプライズはSimilarWeb社のオフィシャルパートナーです。
SimilarWebに関するお問い合わせ先
https://www.similar-web.jp/