入札戦略とは
入札戦略はアカウントに蓄積した過去のデータを元に高度な機械学習を行い、目標に合わせた自動入札調整を行います。
これにより日々の入札調整にかかる時間を大幅に短縮することが可能です。
下記のような7つのタイプの入札戦略が用意されています。
- クリック数の最大化
予算内でクリック数を最大化できるように自動的に入札単価を調整 - 目標掲載位置
検索結果のページ上部や最初のページに広告が掲載されやすくなるように自動的に入札単価を調整 - 目標優位表示シェア
検索結果ページでの掲載順位で上回りたい広告のドメインと回数を指定することで、その目標を達成できるように自動的に入札単価を調整 - 拡張CPC
コンバージョンを最大化できるように自動的に入札単価を調整 - 目標コンバージョン単価
指定した単価でコンバージョンを最大限に獲得できるように自動的に入札単価を調整 - 目標広告費用対効果
指定した目標広告費用対効果でコンバージョン値を最大化できるように自動的に入札単価を調整 - コンバージョン数の最大化
予算全体を使おうとしながらキャンペーンのコンバージョン数を最大化するように自動的に入札単価を調整
紹介した7つの入札戦略のうち、後半4つの入札戦略は、
コンバージョンに基づく高度な機械学習が適用されるためスマート自動入札と呼びます。
スマート自動入札の3つの特長
1.オークション毎でのリアルタイム入札最適化
アルゴリズムに基いてオークション毎に入札単価の最適化を行います。
人の手だと頑張ってもせいぜい1日3回の入札調整が良いところでしょう。
2.検索語句単位での順応型学習機能
過去にコンバージョンが発生した検索語句などから掲載結果を予測して入札調整します。
アカウント全体の過去の検索語句までも学習機能に取り込んでいます。
3.様々なシグナルに基づく高度な分析
過去データから様々なシグナルを捉えて最適な入札単価を割り出します。
公表されているシグナルは下記になります。
人の手でこれら全てを加味した上でリアルタイムに入札を行うことは不可能と言えるでしょう。
- デバイス
- 地域
- 曜日/時間帯
- RLSA
- 年齢と性別
- 興味/関心
- 検索語句
- 広告タイプ/フォーマット
- 言語
- ブラウザ/OS
- 検索パートナー
- ページコンテンツ、構成、キーワード
- 前回のサイト訪問からの経過時間
- サイト上で閲覧したページ数
- サイト上で閲覧した商品の金額
- 過去にアクセスしたサイト
スマート自動入札の2つのリスク
1.まだスマート自動入札が必ずしも正解ではない
体感値として、「商品/サービスの種類が多い」「設定しているリンク先URLが多い」
といった複雑なアカウント状況下では機械学習がやや働きづらいと感じています。
その結果、目標コンバージョン単価10,000円に設定したにも関わらず、CPA15,000円以上で推移してしまったケースも存在します。
2.アルゴリズムにも苦手な部分が存在する
入札戦略のアルゴリズムは過去のデータを元にしています。
そのため現在の変化から、将来の可能性を考えることはできません。
「昨日テレビ番組で紹介されて爆発的に指名キーワードのクリック数が増えた」
などの急激な環境の変化に対応することも難しいでしょう。
またシグナルがユーザー心理や購買意欲を完璧に汲み取ることが出来るか?
と言えば恐らくNOでしょう。
入札戦略で運用者が行うべきこと
1.機械学習の支援
真価を発揮できるようにアルゴリズムの仕組みを理解した上で
いかに機械学習を阻害する障壁を取り除いて、学習を支援できるかが非常に重要になります。
例えばCV獲得目的の検索広告と、認知目的のYoutube動画広告など。
性質の異なるキャンペーン全て同じ入札戦略で設定してしまうのは好ましくありません。
「ターゲット属性」「購買心理の段階」にばらつきが生じ、シグナルが混線してしまう。
その結果、思うように機械学習が進まず入札戦略の精度が落ちてしまう可能性があります。
逆に、細分化されたアカウント構造も(1広告グループ1キーワードなど)
データ蓄積の観点から機械学習が機能しにくい可能性があります。
2.導入タイミングの判断
入札戦略を導入することで成果が改善するかどうか?
判断する為に、まずはテスト機能を活用してABテストを行いましょう。
入札戦略導入前と、導入後の状態を作り出して比較検証することが可能です。
AI化が進む広告運用の未来
「自動化を導入したら運用者はいらなくなる」と考える人がいるかもしれません。
確かに将来的に精度が格段に向上することで、入札調整などの作業が占める割合は減少するはずです。
しかし、いくら自動化が進んだとしても、マーケティングの目的を達成するために意思決定を行えるのは人間です。
ペルソナの作成、カスターマージャーニーに合わせた戦略的なアプローチ、入札戦略の効果を高めるチューニング等
機械学習では全てカバーすることはまだまだ難しいと考えられます。
目的を達成するために、データをどう読み解くか?
最近よく耳にするデータドリブンマーケティングの実践力が求められる時代になっていくと想像しています。