書籍では教えてくれないシリーズ

【中級】提案力が上がる検索語句の新活用術

連載記事「書籍では教えてくれない運用型広告

検索語句(クエリ)とは

検索語句は、広告をクリックしたユーザーがGoogle/Yahoo!で実際に検索したキーワードです。
キーワードを部分一致で登録している場合は、様々な検索語句に対して広告が配信されるため、日々のチェックは必須とも言えるでしょう。
既に多くの運用者様は検索語句をチェックして関連性が薄い検索語句を除外したり、コンバージョンに繋がった検索語句からキーワードを追加していることでしょう。
今回は検索語句を元にしたキーワードの除外や追加例、そして中~上級者向けの傾向分析方法とその活用事例を紹介します。

検索語句の確認方法

手順①キーワードタブを選択
手順②検索語句を選択

検索語句の確認方法

検索語句の確認方法

活用術1.除外キーワード追加

除外キーワードとして追加すべきは下記3パターンになります。

  • 取扱のない商品名キーワード
  • ニーズ違いキーワード
  • ネガティブキーワード

これらの検索語句は成果に繋がる可能性が低く、CPA上昇の原因になりがちです。
定期的に検索語句のチェックを行い、広告費の無駄を少しでも削減するように心がけます。
特に運用初期や、キーワード追加後は、思わぬ検索語句からクリックが発生します。注意しましょう。

【取扱のない商品名キーワードの例】
広告主:パソコンのモニターを販売
⇒部分一致キーワード「パソコン モニター」 
⇒検索語句「化粧品 モニター」
⇒除外キーワード「化粧品」「アンケート」「サンプル」etc

【ニーズ違いキーワードの例】
広告主:スマートフォンの修理サービス
⇒部分一致キーワード「スマホ 修理」
⇒検索語句「スマホ アクセサリー」
⇒除外キーワード「アクセサリー」「ケース」「ストラップ」etc

【ネガティブキーワードの例】
広告主:健康食品の通販サイト
⇒部分一致キーワード「健康食品 通販」
⇒検索語句「健康食品 トラブル」
⇒除外キーワード「トラブル」「被害」「詐欺」etc

活用術2.キーワード追加

過去にコンバージョンが発生した検索語句は、再びコンバージョンが発生する可能性があります。
キーワードとして未登録の場合は、新規キーワードとして追加しましょう。
追加して終わりではあまり意味がありません。
キーワード追加と同時に、下記のような最適化を並行して進めましょう。

  • 掲載順位のコントロール
  • タイトルインさせた広告文作成
  • リンク先URLのABテスト
  • キーワードの新規アイデア
  • 品質スコアの改善
  • 他の広告配信手法への横展開(ディスプレイ広告、SNS広告 etc)

活用術3.単語別の傾向分析

単語別の傾向分析

単語別の傾向分析

例えばCPAを改善する必要がある場合、どこに着目しますか?
キーワード、広告文、デバイス、など様々なアプローチ方法がありますが、
ここでは中~上級者向けの検索語句を元にした傾向分析をご紹介します。

文房具通販サイトを想定した仮の検索語句レポートを見てみましょう。

画像:仮想の検索語句レポート

大量のデータである検索語句レポートをじっと眺めていても施策を生み出すことは難しいです。
そこで今回紹介したいのは、検索語句の中で特定の単語が含まれる際のデータを集計して傾向分析する手法です。
下記は特定の単語が含まれる際の集計データになります。

画像:単語別データ集計結果

画像:単語別データ集計結果

これなら特定の単語が含まれる際のCPA傾向を横断的に掴むことが可能です。
例えば検索語句に「黄色」という単語が含まれる時のCPAが一番高いことがわかります。

このように「データ」を加工して、「情報」として読み解くことで
CPAが悪化している結果が「黄色」を含む単語に関係している。というヒントが得られます。
何故「黄色」が含まれるとCPAが高い結果となるのか、仮説と施策を3つ挙げてみましょう。

 

  • 仮説A 黄色(商品)は人気がなく売れにくい
  • ⇒施策 クリック単価を引き下げて予算配分を最適化、又は停止検討

  • 仮説B リンク先URLから黄色商品を探しにくい
  • ⇒施策 サイト構造や、商品配置を変えてユーザービリティを改善する

  • 仮説C 取扱っている黄色の商品の種類が少ない
  • ⇒施策 黄色の商品ラインナップを広げるように要望を出す

この方法はビッグキーワードの部分一致にクリックが集中している場合でも、
検索語句をベースにCPAの傾向を掴むことが可能なため汎用性が高い方法と言えるでしょう。

このように単語別の傾向を掴むことで多くの改善のヒントが得られます。
ヒントを元にしてサイトやサービスを見直す抜本的な提案も可能になるでしょう。

活用事例

参考までに検索語句を元にして改善に繋がった事例を公開します。
具体的なイメージを膨らませて、アカウントを今一度、検索語句から見直してみては如何でしょうか?

某新卒向け求人サイトの場合

  • 状況
    新卒向け求人サイトに特化したランディングページを制作。
    ランディングページの想定ターゲットに合わせて「新卒」向けのキーワードを中心に運用した。
  • 施策
    検索語句の傾向分析を行った結果、「転職」を含む検索語句でも「新卒」を含む検索語句に近いパフォーマンスを発揮する結果が得られた。
    画像:傾向分析 集計結果

    画像:傾向分析 集計結果 ※画像内のデータは一部変更しています。

    そこで「転職」ニーズに最適化したランディングページを追加制作した。
    新たに転職向けキーワード、広告文を作成して最適化を行った。
  • 結果
    新卒と転職の2軸でサービスを展開。
    「転職」ニーズのコンバージョン率が改善して応募者数が拡大した。
    検索語句の分析から新たな市場を切り拓いたと言えるでしょう。

おわりに

細かいチューニングを含めると取り組むべき調整や施策は無数に存在します。
「日々の膨大な業務に追われてとにかく時間が足りない」
そんなときこそ見方を変えて分析を行うことで課題を理解しましょう。
より短時間でより大きな成果を得られるはずです。

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